ろっかーの中

ちょっぴりオタクでちょっぴりバンギャなアングラ乙女の日記

落語とBLの融合が心地よい。

前回(落語漫画の次は歌舞伎っしょ…(カブキブ!) - ろっかーの中)、前々回(「落語と心中するんだって」 - ろっかーの中) と、落語、歌舞伎を題材にした書物を紹介しましたが、今回はちょっと特殊で、一部の方々……通称“腐女子腐男子”がひっそりこっそり嗜む書物の中からオススメしたいと思います。

 

 

その漫画がこちら。

 

年々彩々 (FCオンブルーコミックス) (Feelコミックス オンブルー)

年々彩々 (FCオンブルーコミックス) (Feelコミックス オンブルー)

 

 

秀良子”さんの“年々彩々

表紙だけを見ると、「ただの和風漫画?」のように見えてしまいますが、きちんと落語であり、BL。

そして、今流行りのキャピキャピした男子がイチャコラする漫画ではありません。

 

では、どこに落語要素があるのか?

 

実は、この“年々彩々”は落語「貧乏神」と「寿限無」をBLアレンジした漫画です。

漫画の著者である秀良子先生は落語が好きで、漫画という媒体で秀良子先生なりのオチをつけた「貧乏神」を描きたいという旨を「貧乏神」の原作者である小佐田定雄先生にお伝えしたところ、快く許可していただいたとのこと。詳しくは年々彩々の裏表紙にて読めます。とても素敵なお話です。

 

そのような過程を経て、私達がただ単にBLを楽しむだけではなく、落語も一緒に楽しめちゃう漫画を制作してくださったわけです。

 

肝心な単行本の内容はというと…

落語シリーズ(「貧乏神」と「寿限無」)の二作と、落語とは無関係な短編一作、そして、落語シリーズの描き下ろしが収録されています。

ちなみに、「寿限無」は前編、中編、後編の3構成です。

 

まず、落語シリーズ。

「貧乏神」を読まないと「寿限無」の内容は分からないようになっています。

「貧乏神」に出てくる某キャラクターが、引き続き「寿限無」にも出てくる形。

 

落語シリーズを読んでいると、BL特有の「男同士だから…」みたいな展開の駆け引きだったり、それを乗り越えたトキメキは正直、感じません(笑)

その代わり、哀愁漂う“間”がとても魅力的であり、美しく感じることでしょう。

 

ここで、「貧乏神」と「寿限無」の大まかなあらすじ(本来の「貧乏神」の説明を交えながら)を書いてみたいと思います。

 

金魚すくい~落語「貧乏神」より~

…仕事もなければ、女房にも逃げられ、しまいには大家にも見放され……色んな人に借金をしまくる“与平(よへい)”。そんな与平に取り付いた“貧乏神”。これが運の尽き。稼ぎもない奴に取り付いてしまったから吸い取るものなど何もないので、弱った貧乏神は与平に「働いて下さい」と頼むのです。そこで素直に働いてくれればいいのに、あろうことか貧乏神にまで「お金を貸してくれ」と言い出す与平。やっと働きに出たと思えば、稼いだ金を使い込んで帰ってくる。呆れもありつつ、貧乏神自身が内職を始めたり、まるで夫婦のように与平の世話をするのですが、そんな日常も長くは続かず、とある出来事がきっかけで亀裂が……ここから先は、読んでからのお楽しみ。勿論、オチもあります(笑)

 

デラシネの花~落語「寿限無」より~

…かの有名な“寿限無(中略)長介”がその名の通り、長生きをして現代でホストをしていたら?というお話。先程も書きましたが、“金魚すくい~落語「貧乏神」より~”のオチを読んだ上で読む作品です。こちらの方がBL要素が強め!!

 

以上、ザッと説明をしましたが、どちらにも共通して言えることは、与平も寿限無(中略)長介もダメンズ加減が半端ではない。

そのクズっぷりは見ていて潔いほどです(笑)

 

でも、ダメンズだからこそ、成り立つ物語というのかな……最初の貧乏神の苦労だったりが愛らしく思えてしまう。キャラクターが立つんですよね。

そして、落語シリーズの構成は勿論、作品自体の雰囲気がとても良いです。

切ない恋が好きだったり、運命やデジャヴといったものが好きな方はハマる作品だと思います!!

 

 

 

 

では、続いて短編の概要をば。

 

■小向家の事情

お父さん、お父さんの友達“蓮司(れんじ)”、息子の“颯太(そうた)”のお話。颯太が物心ついた頃には既に“母親”という存在はいなくて、その代わり、蓮司がいた。その異変に気づいた颯太が取った行動とは……?

 

落語の余韻を引きずりながら読むことになるであろう短編。

この物語だけでも続編とか番外編が描けちゃいそうな感じです。

切なさの中に心が温まる要素があって、オチはちょっと笑えます(笑)

 

 

最後に、収録されている描き下ろし。

こちらは“デラシネの花~落語「寿限無」より~”の後日談となっています。

描き下ろしを読むか読まないかで、単行本を読んだ後の気持ちが変わる……!!

 

 

 

 

結構、流れるように紹介してしまいましたが、今回紹介した年々彩々はサラッと読もうと思えばサラッと読めて、深読みしたいなと思えば、深読みもできてしまう作品。

一度読んだ後に本来の“落語”を意識して、読み直してみるのもオススメです。

特に、新作落語の「貧乏神」は「そういう視点で見れば(BLに)見えなくもない」と感じるかと思います(笑)

 

 

 

 

さて、今日も今日とて商業BLを読み漁っている天田がオススメする“年々彩々”でしたが……私の周りで知っている方が少なかったので、記事にしてみました。なんとなく雰囲気を掴んでいただけたら嬉しいです。

機会がありましたら、読んでみてください。

 

では、天田でした。

 

 

 

年々彩々 (FCオンブルーコミックス) (Feelコミックス オンブルー)

年々彩々 (FCオンブルーコミックス) (Feelコミックス オンブルー)